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告発~北朝鮮在住の作家が命がけで書いた金王朝の欺瞞と庶民の悲哀~

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パンジ著 翻訳・萩原遼
2016年6月発売 四六判・ソフトカバー・264ページ

北朝鮮在住の作家が身内に原稿を託して韓国で発表した体制批判の短編小説集。
命がけで書き上げた7つの短編には北朝鮮という不条理な世界で生きる庶民の悲しみが描かれ、
金体制への激しい怒りが込められている。

○収録作品
脱北記/幽霊の都市/駿馬の一生/目と鼻が万里/伏魔殿/舞台/赤いキノコ

●櫻井よしこさん推薦!
「人間の自由をことごとく押し潰す北朝鮮。それでもパンジ氏は命がけで小説を書いた。
朝鮮半島の北半分に広がる地獄の中でも自由意志を失わなかった人がいる。そのことにただ感動する」

○著者メッセージ
北の地での50年をもの言う機械として
囚われの人間として生き
才能ではなく怒りで インクとペンではなく血の涙と骨で書いた
わたしのこの手記

砂漠のように乾き草原のように荒れはて
病人のようにみすぼらしく石器のように未熟でも
読者よ! どうか読んでください

○訳者メッセージ
「北の人が北の独裁を告発した最初の本」
1950年代から北朝鮮は私のは憧れの国だった。
1972年に「赤旗」の特派員としてかの地に足を踏み入れた時は〝第二の祖国〟くらいの思いだった。
それがくずれるのは3か月とかからなかった。
殺されかけてこの国の怖さを知った。
以来、1994年、金正日が父親金日成を亡き者にしてからは、
いつかはこの国にも正義の士が現れるだろうと待ち続けた。
パンジの小説『告発』を読んで、ついに・・・という思いである。
李朝時代(朝鮮の封建制の時代)が今も人々を縛る中で、
それに抗うひとりの人間の想いを受け止めることは、私の大いなる喜びである。(萩原遼)

~読者の声~
・「事実を基に書かれたと思われる7つの短編からなる北朝鮮の人々の日常。そこには暗く悲しい世界しか描かれておらず恐ろしいほどモノクロの世界が広がっている。それゆえ、公開処刑された罪人の血や毒キノコの赤色が普通以上に強烈な色として脳裏に映し出される。この世に生を受けた時より北朝鮮でしか生活したことのない人々の精神状態がどのようなものなのか良く理解できる一冊。恐らく日本で精神科医の診察を受ければみんな何かしら病名がつくだろう。国のトップが狂っていれば国民は同様に狂う。常に監視され怯え自分の心のうちを声に出せない状態での生活。我々からしたらごくごく普通のことが彼らにとっては決して叶うことのない夢。自分たちが享受できている今の生活がいかに恵まれたものかをあらためて認識させていただいた。経営者や会社幹部、国を動かす要職にあるものは必ず目を通しておくべき一冊だと思う」
・「ある経緯でこの本を手にすることになり、これまで上っ面でしか知らなかった北朝鮮の人々の現状を知りました。独裁政治は上に立つ者でこれほど変わるんだと痛感しました。世界中では他にも独裁政治と呼ばれる国家が存在しますが、北朝鮮の独裁政治というものはそれらと異質な、政治と呼べるような代物ではないと感じました。いろんな問題を世界に向けて起こしているものが、本当に国民のためになっているのならまだ救いようもありますが、この国の独裁政治はその片鱗がどこにも見られませんね。産まれてきた場所が北朝鮮であった瞬間から不幸(こんな生やさしい表現では足りないでしょうが)を背負って生きなくてはいけないという事に他なりません。中国の新疆ウィグルにおける虐殺やポルポトのような血生臭いものではないとしても、生きながらにして全てを奪い去ってしまい、成分などという階級でそれを抜け出す余地さえ残さない扱いの酷さには怒りさえ覚えますね」
・「一気に読めます!しかし、一度読んでまた読み返すと新たな発見が出来ます。北の本は、脱北者の方も書いているものがありますが、今まさに住んでいる生の声は、貴重です。翻訳も原文に忠実に細心の注意がはらわれているのが伝わってきます。パンジさんも命がけで書いたとは思いますが、萩原先生も命がけで翻訳したのでは!」
・「北朝鮮に関する書籍はこれまで数多く出版されているが、一般の人々の姿を描いたものはあまり多くない。本書には、北の、生真面目な人々が登場する。彼らは国のため、人々のために懸命に働いてきた。にも拘わらず、その努力は報われず生命すら失ってしまうのである。幾ら尽くしても報われないことは、日本でも韓国でも、その他の社会でもあることだろう。でも、その結果、生命を落とすことはあり得ない。核、ミサイル等々、この国には様々な問題がある。しかし、最大の問題は国民の生命が粗末に扱われていることではないだろうか。この本は、まさにこうしたことを「告発」しているのである」
・「『告発』の作品を読んでみて思うことは、北朝鮮の名もなき一般の人達のことは、ほとんどと言っていいほど知る機会もなかったので、どのような生活をしているのか全く分かりませんでした。ただ漠然とすべてにおいて個人の自由なるものは、存在していないか…或いは許されてもいないのではと…そのように思っていました。そうして、この本を拝読してこれほどまでにがんじがらめで情け容赦もなく人の心を思いのまま操る…。呼吸ひとつするのも怯えるようにして…。ここまで完璧に支配出来るとは、信じられないほどの想像を絶する世界…。読み進めて行くうちに何故だかミステリー小説を読んでいるような錯覚に陥りました。それは、人の道から外れ過ぎていておぞましい異様な世界を覗いてしまったからだと思います」

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